バルコニーの天井(上げ裏)面などで、右下の写真の様な状態を見かけたことは
ありませんか?これは、コンクリート内部の鉄筋が錆びてしまったために起きた現象で、一般的に「鉄筋曝裂(ばくれつ)」と呼ばれています。
通常、コンクリート内部の鉄筋は、新しいコンクリートが持っているアルカリ性
(酸性の反対)によって錆び(酸化し)にくく保たれていますが、建物の経年とともに、コンクリートのアルカリ性が抜ける(中性化する)ことにより、内部の鉄筋も錆びやすくなってきます。
新築工事の際の精度にもよりますが、
天井面は壁面に比べ鉄筋を覆うコンクリートの厚みが薄くなりがちで、かつ塗装も薄く仕上げている(=水蒸気を
逃がすために通気性を持たせている)場合が多いために、アルカリ性が抜けやすく、鉄筋も錆びやすい部位といえます。
そこで当事務所では、天井面に下塗材として、セメント製の下地調整材を
1層入れる仕様を取り入れています。
コンクリートの主成分であるセメント材を塗布することで、 鉄筋を保護する躯体をアルカリ性に保ちやすくするとともに、通常の塗装材のみで仕上げる場合よりも中性化の進行を抑える効果を期待しています。
左の写真の現場では、ローラーで施工
可能な、 中性化抑止効果のある 下地
調整材を採用しました。
下地調整材の後、シーラー、上塗り材を塗装して、天井面の塗装は完了です。
仕上がりも良好で、今後の経過が楽しみです。
下地調整材の塗装中
上塗り材塗装完了
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